(追加 2020/3/16)
(内容少しだけ追加 2020/6/22)
(追加 2020/3/16)
慢性的に脳の血流量が低下し、酸素や栄養が脳へ十分に行き届かなくなることは認知機能障害の発症・病態増悪因子の一つであることが指摘されてきましたが、その病態メカニズムは詳しくは分かっていませんでした。
それを解明すると、慢性的な脳血流の低下が、脳の免疫細胞であるミクログリアの過剰な活性化、中枢神経系の過剰な炎症(脳内炎症)、白質部分の傷害が観察され、認知機能障害が起こっている。
(追加 2020/3/16)
(追加 2020/6/22)
脳の機能を考えてみると、それは見る、聞く、話す、臭いを嗅ぐ、触って感触を得る、走る、歩く、箸を持つなどの筋肉への運動の指令、沢山の言葉や顔や形の記憶する、暗算などの計算する。
更にいろんなことを想像する、喜ぶ、楽しむなどの感情表現、何かを実現する為の強い意志などがあります。 脳は本当に沢山の働きを持っております。
その脳への栄養補給は2つの動脈でなされております、1つは椎骨動脈、もうひとつは頸動脈です。 そして脳を去る老廃物の排泄は内頸静脈だけで運ばれます。
脳から直接出ているのは内頸静脈だけですが、首の部分を走行している主たる静脈は先の内頸静脈と外頸静脈と前頸静脈です。 外頸静脈は頭蓋骨の外側の頭皮からと顔面深部からの静脈となります。 なお体の下水道に相当するリンパ管は脳にはありません。
もし首に筋肉のコリがあると栄養補給の動脈と静脈は圧迫されて血流が低下します。 脳には十分な栄養が届かないことになりますし、脳から老廃物の排泄も低下します。 そうなると様々な症状ができてきます。
私見で、可能性を説明しております。
うつ病は脳内のセロトニンの分必の低下に関連があると言われていますが、もう少し広く別の視点で考えてみます。
心の病と言うことで脳のどこかに問題があることは予想されます。 日常の話す、聞く、臭いを嗅ぐ、歩く、走る、ご飯を食べるなどの普通の動作はできております。 と言うことは脳のほとんどの機能は正常で、わずかな部分に問題を生じていると予想されます。
どれだけの範囲に問題が生じているか、そんなことは現在の最先端の医療技術や知識をもっても厳密には言えないと思います。
あえておまかな数値を大胆に想像すると、問題の範囲は全体の1%だったり、それでも脳の多くの機能との対比で考えるとまだ多いような気がします。 それはもしかして0.1%以下や0.01%以下の僅かな部分だけが障害を受けているだけかもしれません。
出来るだけシンプルに血液の流れだけに着目して考えてみます。 脳に栄養を送る2つの動脈の太い方の頸動脈で考えてみます。 その外径は平均で9㎜程です。 そしてうつ病での損傷の場所が脳全体の1%以下の問題とし、血流は1%減ったと考えます。
それには頸動脈の血管が圧迫されて、血管の太さ(断面積)が1%狭くなり、血流は1%低下します。 それは血管の太さでは0.09㎜狭くなるに相当します。 0.09㎜なんて、ちょっとしたことで狭まってしまいます。
当然、余裕度というのが我々の体に備わっているので、ちょっとした変動を吸収してくれます。
次に確実に脳に影響を及ぼすと思われる10%の血流低下を考えると、それは頸動脈の外径の9㎜の10%で0.9㎜狭くなった場合です。 厳密には面積は2乗に比例しますし、血管の円の外周部は面積が広く、更に血液が流れるのは内径が関係しますが、計算を簡単にするために、頸動脈の外径で見積もってみますと、外径が約0.5㎜狭まると血流は10%低下します。 ちなみに血流の5%の低下は0.23㎜の狭まりです。
首の筋肉のコリのよる圧迫で頸動脈の外径が0.5㎜狭まるとか0.23㎜狭まるということは十分にありうる話だと思います。 薬でもなかなか治りにくいうつ病も、首のコリを取ってあげると血流が本来の量に戻り、今まで新鮮な血が届ていなかった場所にもそれが届くようになり、脳の機能が十分に発揮できるようになっていきます。 損傷を受けていた脳も自然治癒力の力で少しずつ治ったり、代償機能が働き始めて症状が消えていきます。
全てのうつ病が対象という訳けではありません、首にコリがある人は、首のコリを解消すれば、治るかもしれないと言う可能性を示しております。
「うつ病は脳の問題でなく、実は、首のコリの問題である」と言われると、なんだか心の病を前向きに考えられるような気がします。
2017/6/13
ここからの自律神経失調症に関する記事はこのホームページ内の以前の記事と重複しております。 そこにリンクで飛ばすよりは、「首の筋肉と脳の病気」の専用ページとしてまとめた方が、一連の関連情報を理解して頂き易いと考えました。 どうかご了承をお願い致します。
自分の首を手で触って見て下さい、何だか少し硬い、少し冷たいとか感じられる方で、その上で体調不調を感じられている方。 例えば、慢性的な疲労、めまい、偏頭痛、動悸、手足のほてり、微熱、不眠など精神症状では、イライラ、不安感、落ち込み、やる気が出ない、ゆううつになるなどです。 それは自律神経のバランスが乱れているとこのような症状がでます。
自律神経は、体の循環器(心臓、血管など)、消化器(胃、腸など)、呼吸器(肺など)などの生命維持の活動を調整するため神経です。 自分の意思ではコントルールできず、自動で24時間働き続けている神経です。 そして自律神経は交感神経(活動の神経とか闘争の神経と言われています)と副交感神経(リラックス)の2つで構成されています。
副交感神経は、運動神経、感覚神経と同じ背骨の中を通っています。 交感神経は2本の専用の交感神経幹が背骨の両脇を走っています。 これを道路に例えれば、渋滞する市内の旧国道(背骨の中)を走るのが副交感神経、運動神経、感覚神経です、対してその混雑を迂回するバイパス国道が交感神経幹です。 分かり易く例えれば交感神経は戦いの重要な神経ですのでスピードが命ですから専用の道路となっております。
体の器官と臓器に向かう交感神経は交感神経幹の節のような膨らみより枝分かれします。 首の交感神経幹の節は比較的体表に近くを走行しているので、どうしても筋肉のコリの影響を受けやすいです。筋肉のコリが交感神経の節を圧迫することで交感神経の過剰刺激が生じます。交感神経の節として有名なのは星状交感神経節と言います。
ストレスにより交感神経が過剰興奮して首の筋肉がコルのか、首の筋肉のコリから交感神経の過剰興奮が誘発されるか、どちらが先かはわかりませんが、首の筋肉にコリがある事が問題です。 そのコリが交感神経を過剰に刺激して、それが脳にフィードバックされて、人体の恒常性維持を司る重要な脳の視床下部に微小循環障害を引き起こしていると推測されています。
自律神経のバランス改善は、首の筋肉のコリを取る事により、特に首にある星状交感神経節を圧迫しているようなコリの解消を対象としております。
首の筋肉のコリは比較的早く取れたとしても、目指す先は、脳の中での神経細胞(ニューロン)やそのネットワークのことで、視床下部の微小循環障害の改善のことになります。 その改善には人体が持っている自然治癒力が行います。 その為に治療の持続が必要ですし、その効果が実感できるようになるまで少なくとも2ヵ月以上は掛かると考えております。 自律神経のバランス改善については気長にやる事が大切です。
少なくとも首にコリあると、血管が圧迫され脳への血流も不足して脳の機能が最大限発揮できなく、脳の働きも十分でないと考えております。 首のコリが取れると脳への血流が増加しますので、その部分については直ちに改善されるものと考えております。
2017/6/14
首の筋肉のコリと脳の病気の第3回目はアルツハイマー型認知症について説明します。
厚生労働省の平成24年度のデータによると、日本の認知症患者数は約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。 認知症の前段階とされる軽度認知障害は約400万人です。 高齢者の約4人に1人が認知症あるいはその予備群ということになります。 この数字はアルツハイマー型認知症以外の認知症も含まれています。
アルツハイマー型認知症は250万人の患者がいるといわれ、もっとも患者数の多い認知症です。
また2025年には認知症の患者数が700万人を超えるとの推計値もあり、その時は65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患する計算となります。
それにしても多いです。 本当に多すぎるので、素朴な疑問を感じ、考える出発点となっております。
アルツハイマー型認知症ではアミロイドβと言う異性タンパク質が脳に蓄積して脳の神経細胞を損傷させると言われておりますが、どうしてアルツハイマー型認知症になるか現在の医学ではまだ良く分かっておりません。
関連があると言われているのは、糖尿病、高血圧の人はアルツハイマー型認知症の発病率が高いと言われております。 また夜間に十分な睡眠をするとアミロイドβの排泄が高まり、アルツハイマー型認知症の発病が低下すると言う最新の研究結果もあります。
脳からの排泄が滞ると脳に良くないことは想像で分かります。 「首の筋肉のコリと脳の病気」の第1回目、第2回目の記事の中で、首のコリが血管を圧迫して血流が低下すると話しました。 静脈が圧迫されると脳からの排泄量が低下しますので、首にコリを取ることが排泄量を高め、アミロイドβの排泄が高まります。 排泄するにはそれを駆動する力が必要です。それは動脈の拍動になります。 首の静脈と動脈の血流も首のコリを解消することで改善します。
多過ぎる患者数と予備群の中で、出来ることの一つと考えております。 これが少なからずアルツハイマー型認知症の予防になるのではと考えております。
補足資料として、「脳からのアミロイドβの排泄」を説明致します。
まず生理学的背景が、名古屋大学大学院医学研究科量子医学分野教授の長縄 慎二先生の「脳の老廃物排泄機構」のレポートの中で分かり易く説明されております。 クリックして頂けますとそのレポートの内容を読めます。
そのレポートの内容を本当にザックリとまとめますと(一部表現を使わせて頂いております。)
1.脳脊髄液からの水が脳内の老廃物を洗い流すと言う考えです。
2013年のサイエンス誌にロチェスター大学のMaiken Nedergaard博士がGlymphatic systemという考えの中で提唱されました。
2.脳脊髄液から水が流れだして、脳内の老廃物、例えばアルツハイマー型認知症で脳内に沈着する異性タンパク質であるアミロイドβを静脈側の血管周囲腔に流し出すます。 アミロイドβを洗い流します。
3.睡眠中は間質腔が60%以上広くなり、老廃物の排泄率が高まる。
4.排泄には姿勢や呼吸も関係している。
5.脳脊髄液のその流量はノルアドレナリンによって制御されている。
6.動脈の拍動も大切な因子となる。
上記の5が、重要な点であることは何となく分かりましたが、疑問点も多くありました。 たぶん流量が増えるのがいいと思いましたが、「どうしてノルアドレナリン?」などの疑問が出てきて、しっくりきません。
それでネットでもう少し調べたり、自分で考えたりして分かりました。
脳細胞の一種であるグリア細胞が萎縮と膨張を繰り返すことで、脳脊髄液の流れがコントロールされている。ノルアドレナリンは細胞の体積を増加させるホルモンとして知られているとありました。
これです、水で老廃物を洗い流すので、脳脊髄液の流量は高い方がよいことは直ぐに分かります。 交感神経の刺激で分泌されるノルアドレナリンの分泌量を下げれば細胞の体積が小さくなるので、隙間が広がって脳脊髄液の流量が高まることが分かりました。それと脳の間質腔も広くなることも分かりました。
次の段階では、東洋医学の鍼灸の中で、この生理現象を普段の治療にどのように利用するかです。
1.睡眠の質を高めるような治療
重要です。 既にはりとお灸を使って様々な手法で不眠などの改善を行っておりましたが、まだ不十分だったかもしれませんし、大きなヒントを貰いました。 今後の治療の中で生かしていきたいと思っています。
2.交感神経の過剰な興奮を抑える。
今までもこれを心がけていましたが、重要性を再認識しました。
3.首のコリを取ることで、老廃物の洗い流しの駆動エネルギーとなる動脈の拍動を高める。 静脈の排出量も高める。
既にキララ式 温灸ストレッチなどでやっている手法が有効です。 過剰刺激を与えて、交感神経が優位にならないように刺激量に注意をします。
強い刺激では頸動脈の動脈硬化のアテロームの剥がれよるリスクもあるので、少ない刺激量を心がけたいです。
4.肘から先、膝から下の皮膚に微細な刺激が体性ー内臓反射を呼び起こし易く、同時に副交感神経優位になるので、全てではありませんが、経絡治療も有効と考えています。 経絡治療はすでにやっておりますので、患者様の状態を見極めながら、適切に他の治療法と組み合わせたいと思っております。
5.脳脊髄液と交感神経管の配置を考えれば適切なツボがあることが分かります。 その効果も確認しておりますが、ここでは割愛致します。
以上で補足資料と「首の筋肉のコリと脳の病気の第3回 アルツハイマー型認知症」の説明が終わります。 参考になれば幸いです。
2017/6/15
(追加 2020/4/10)
(補足更新 2020/5/6)
(更新 2020/3/16)
慢性脳低灌流状態から認知機能障害に至る病態メカニズムは、アルツハイマー病や血管性認知症をはじめとする認知症はもちろんのこと、他の中枢神経変性疾患や精神疾患にも共通していることが示されております。
海馬は大脳辺縁系の一部で、記憶・学習能力に関わる脳部位である。海馬はストレスに対して非常に脆弱であるとされ、心理的・肉体的ストレスの負荷により長期間コルチゾールに曝露されると神経細胞の萎縮を引き起こす。
アルツハイマー型認知症の発症に大きく関わるアミロイドベータタンパク質(Aβ)の集合体(Aβオリゴマー)によって引き起こされるタウ異常を含む神経細胞の異常な変化が、Aβオリゴマーを除去することによって回復しうることを、実験モデル系を用いて初めて明らかにしました。
CAPONがタウタンパク質と結合することを見いだしました。そして、ヒトのアミロイド病理を再現するモデルマウスの脳でCAPONを強制発現させると、タウ病理と神経細胞死に伴う脳の萎縮が促進されること、逆に、タウ病理と神経細胞死を再現するモデルマウスでCAPON遺伝子を欠損させると、脳の萎縮が抑制されることが明らかになりました。このことから、CAPONはアミロイド病理下において、タウ病理、神経細胞死を誘導する重要な因子であると考えられます。
(注釈追加 2020/3/16)
(注釈2、注釈3、まくらの記事追加 2020/4/10)