●人間の脳を3つに分ける
人間の脳は、進化の発達過程から3つの機能で分かれます。
1つ目は爬虫類脳であって脳幹にあります。 呼吸、食欲、睡眠、排泄等の生命維持の機能の部分です。
2つ目は、進化の2段階目で獲得された哺乳類脳です。 脳の深部の大脳辺縁系にあり、集団の生活する動物がもっています。 楽しい、嬉しい、怖い、悲しい、好き、嫌いなどの感情です。 それと集団を形成する社会的動物は、一人では生きる事はできないので、人と繋がりを求める社会的な欲求です。 私達が哺乳類の一員であると考えると、犬や猫の悲しみは私達と変わりなく、猫の「ニャ~~」と悲しそうな声を聴くと、愛おしく感じます。
3番目の最後に獲得されたのは人間脳です。 計画や予測、理性的な判断、言語能力などを有します。 理性脳と言ってもよいでしょう。
●情動脳
情動とは感情のことですが、喜怒哀楽といった情動に伴う身体の制御と処理を担うのが情動脳の部分です。 爬虫類脳と哺乳類脳の2つで「情動脳」を形成しています。
緊急時には、「考える前に行動する」といった生物としての生命維持を最優先するために、人間脳より、情動脳が優先されます。 その時は情動脳が優位であるので、理性脳の制御がほとんど効きません。 緊急事態では言葉で教え諭し、行動を変えることが根本的にできない仕組みを人は持っています。 これは感情が高ぶって興奮している人に対して、その状態ではいくら言葉で説得してもできないので、まずは興奮を落ち着かることの理由です。
●緊急の反応
アフリカの草原にすむ草食動物のインパラの周りは肉食動物のライオンなどがいて日々は生活には危険に満ち溢れています。 それで常にアンテナを張り巡らせて危険を感知しております。 風によるちょっとした草木のざわつきにも過敏に反応して、まずは逃げだします。 疑わしきは、罰しろの精神です。 その物音がもしライオンによるものであれば、命を失うことに繋がるからです。
トラウマを理解する上で大きなポイントは、人間も緊急事態の反応においては特別な存在でなく「哺乳類の一員」であるというです。
人間も「情動脳」の反応の影響を強く受け、それが優位になる緊急事態や脳の間違った判断下(意図的でなく、ちょっとした出来事から、解消されていない情動記憶が呼び起こされるような状況です)では、人間脳から抑制が効きません。 何だかパニくったとかフラッシュバックの時などです。
緊急時の反応は、闘争/逃げるです。 それも出来ない危機的状況になれば、最後に残されたかすかな可能性にかけて固まるとか凍りつく(死んだふり)をします。 肉食動物は死んだ動物を食べない習性があるのと、死の痛みを感じなくなるためです。
動物の場合は、危険が去ると身震いすることで凍りつき状態を解除できます。 人間の場合は解放されないエネルギーとして身体に留まってしまいます。 後で述べますが治療の過程で、心底からの深いため息や身震いが生まれるとエネルギーを解放をさせることができますが、それが難しいです。
(2018/4/26)