明日の身体と心の自立を助ける
 キララ鍼灸院
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 鍼灸でトラウマ、PTSD,うつ病を施術する
 第9回  ミラーニューロン
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ミラーニューロン

ベッセル・ヴァン・ディア・コーク先生の言葉を借りれば、現代の神経科学における屈指の大発見として「ミラーニューロン」があります。


「ミラーニューロン」とは、目にした他者の行為を無意識に、あたかも自分自身が行っているかのように、自分自身の脳内で活性化し再現する特殊な運動神経細胞です。 脳の場所では運動前野および下頭頂小葉です。 イタリアのパルマ大学の ジャコモ・リッツォラッティ先生 のチームにより1996年に発見されました。


この発見により、共感、模倣、同調、更には言語の発達といったこれまでは説明できなかった心の多くの側面が「ミラーニューロン」で説明できるようになりました。 その上に、「ミラーニューロン」は他者の情動的な状態や意図まで補足すると考えられています。



真似る人と動物


その「ミラーニューロン」に着目してPTSDの患者さんの症状の説明が 「身体はトラウマを記録する」の 本の中で書かれています。 少し長くなりますが、それを引用させて頂きます。


PTSDの「ミラーニューロン」(引用部分)

私の治療室に行ってくる患者の多くは、視線を合わせられない。 私と目を合わせるのは困難なとこから、彼らの苦悩の深さが直ちにわかる。 彼らは自分自身に嫌気がさしており、自分がどれほど見下げ果てた人間かを、私に知られるのが耐えれないというのが、毎度の実情だ。 こうした強烈な恥ずかしさの感情が、脳の異常な活性化に現れるなどとは、私には思いもよらなかった。


例えば直接目を見られることに対する前頭前皮質の活性化だった。 前頭前皮質は通常、私たちに向かっている人を評価するのを助け、「ミラーニューロン」は、相手の意図を察知するのを助ける。


だが、実際に参加した PTSD の人は前頭葉のどの部分も活性化しなかった。 つまり相手に対して全く無関心を抱けなかったということだ。 彼らはただ情動脳の奥深くの「中脳水道周囲灰白質」という原始的な領域を強烈に活性させるという反応を見せるばかりだった。


「中脳水道周囲灰白質」は、はっとするような驚きや過剰な警戒、萎縮、その他自己防衛行動を引き起こす。 社会的関与に関わる脳の部分のどれにも、活性化が起らなかった。 彼らは他者に視線を向けられるだけで、あっさりとサバイバルモードに入ってしまったのだ。


引用終了



自分の最も深い恐れ

PTSDの患者さんに限らず、私を含めて普通の人が、自信がなかったり、少し後ろめたかったり、なんだか恥ずかしかったりして他者と目を合わせられない時があります。 今まではその理由を深く考えずに、単に恥ずかしとして終わっていました。 しかしその行動の深層にはベッセル・ヴァン・ディア・コーク先生の指摘通りの心の動きがあります。 深い部分にある、誰もが持つであろう、普遍的な「自分の最も深い恐れ」があることに気づかされました。


それだけでも目から、うろこですが、目を見つめらることで本来活性化される、共感の座と言われている、脳の前頭葉のどの部分も活性化していません。 脳の「ミラーニューロン」も、それを助けるようにも機能していません。 共感や他者への関心などの社会的な脳が動いていません。 これは大きな問題ですが、逆に改善の為の大きなヒントになります。



社会性を考える

「ミラーニューロン」を考える上で、共感や他者への関心などの社会性ということを避けることができません。 それで、社会性について少し考えてみます。


今の時代、 「都市の時代」 であり、かつて広くあった村社会の濃厚な人との繋がりも大幅に無くなっております。 「内閣府の平成29年版高齢社会白書」 によると、

昭和55(1980)年では世帯構造の中で三世代世帯の割合が一番多く、全体の半数を占めていたが、平成27(2015)年では夫婦のみの世帯が一番多く約3割を占めており、単独世帯と合わせると半数を超える状況である。


それにより共感や他者への関心などの社会性に注がれる様々なエネルギーの総量は低下しています。


その反動といいますか、その希少性や無いものねだり、あるいは、人間も群れを組む社会的動物である本能からか、人々はSMSを通じた「繋がり」や「いいねクリック」の広がり、それ以外の日々の生活においても、繋がり、共感を求めています。 それにより、特に今の時代、「繋がり、共感=同調」が人々の欲求の大きな比重を占めています。


これは何もPTSDの方だけの欲求ではありません。「ミラーニューロン」の活動を高めることができると私達の社会性が高まる可能性を秘めています。



さて、課題を明確にする

PTSDの方のことは無論ですが、PTSDの人以外の我々においても、似た状況があることも分かりました。 それでPTSDを出発点として、私達も含め、自身を改善できる普遍的な事柄について考えます。


整理すると大きく二つの課題があります。


1.私達の共感や他者への関心などの社会性を改善するには、「ミラーニューロン」を十分に活性化し、それに連動する共感の座である前頭葉の活動を高める必要があります。 

2.私達の中にある「自分の最も深い恐れ」をどう解消するかです。



次回は記事は、この課題を改善する具体的な手法を独自に考えました。 それを説明します。


(2018/6/25)

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