●PTSDからうつ病を考察する(私の解釈)
一般に原因は特定できませんが、うつ病は脳内神経伝達物質の
セロトニン
の分泌低下にあると言われています。
ベッセル・ヴァン・ディア・コーク先生の 「身体はトラウマを記録する」 中ではうつ病のメカニズムについて具体的な言及はありません。 それで、私見ですが、トラウマにより引き起こされるPTSDの発生メカニズムとその身体に現れる症状と、うつ病とに類似性があると考えています。 うつ病の発生メカニズムを、PTSDの発生メカニズムで説明できるのはと考えています。
もしPTSDとうつ病が同じ発生メカニズムを持ち、脳内を含む身体に現れる症状に多少の違いはあれ、それが類似していれば、はりとおきゅうの施術でPTSDが治れば、同じ施術方法でうつ病も治ります。 また逆も真で、はりとおきゅうでうつ病が治せるのであれば、PTSDも治せることになります。
「鍼灸でトラウマ、PTSD,うつ病を施術する」の連続記事の第一回目の「ニューヨークの世界貿易センターへのテロ 」 の中でテロ攻撃によりトラウマを被った人々の225人に対する学術調査「どのような治療が自分の体験の影響を乗り越えるのに最も役立ったか?」で、1位は鍼治療で、2位はマッサージでした。
上の調査によりPTSDの患者さんに鍼治療が一番有効であることは分かっていますので、うつ病の発生メカニズムと身体症状のPTSDと類似性を明らかにすれば、一挙にPTSDとうつ病の標準治療法が確立できます。
●サラリーマンの長期に渡るストレス
さっそく、うつ病の発生メカニズムを例を挙げて説明します。 例えばサラリーマンは仕事上のプレシャーがあったり、閉じられた世界である会社の上司、同僚、部下との人間関係から来る軋轢に長時間に渡って晒されています。 それはボクシングで例えると、一つ一つのパンチの破壊力は小さく、トラウマを生むほどの衝撃的な大きなストレスでないですが、それが休みなく続くボディーブローのパンチのように、じわじわとストレスと過労が蓄積していきます。
●【水曜日のダウンタウン】ボディブローじわじわ効いてこない説
「ボディーブロー」と言えば「じわじわ効いてくる」とイメージを持っていましたが、ボディーブローで検索すると【水曜日のダウンタウン】の「ボディブローじわじわ効いてこない説」のYoutubeがありました。 上の太青地のタイトルをクリックするとそのYoutubeがご覧頂けます。 笑えます、息抜きに見て貰えればと思います。
●金属疲労
【水曜日のダウンタウン】の「ボディブローじわじわ効いてこない説」によると、どうやらボディブローは「じわじわ」でないようなので、例えを金属疲労に変更します。
金属疲労は「コトバンク」によると
「金属材料に繰り返し、長時間、応力が加わると、降伏点より低い応力でも、応力が集中する局部に亀裂が生じ、それが進行して破壊に至ることがある」とあります。
小さなストレスでもそれが長時間に渡り重なると、金属疲労と同じように心が壊れる、脳が応力破壊します。 心があるといわれている脳の扁桃体に対する長期に渡る過剰刺激が続き、最終的には扁桃体やその周囲が物理的に壊れるとなります。 金属疲労の例えの方が、サラリーマンが陥るうつ病のメカニズムを的確に説明している気がします。
●我慢
サラリーマンがストレスが蓄積すると、本当は上司や同僚と闘争したり、逃避したいのですが、家族の為や生活の糧を得るためにそうもできません。 我慢です。 そうなるとストレスで顔がパンパンに腫れた交感神経の過剰刺激の状態となります。 私もサラリーマンの時代はパンパンに赤く腫らして仕事をしていたので、よくその状態が分かります。
しかし人はロボットではないので、感情を持つ哺乳類の一員の生物なので、最後は限界が来て、機能停止となります。 残っているのは最低限の生命維持だけの機能となります。 パソコンでいうレジュームモードやスタンバイ・モードの状態です。 それがうつ病です。
●背側迷走神経複合体になる
多重迷走神経理論でいうところの背側迷走神経複合体の状態なっており、交感神経と、副交感神経の大幅な信号出力の低下状態です。 凍りつきです。 生物の生理学的な身体症状はPTSDと同じです。 症状の多い少ないの程度の問題だけです。 これが私が考える「うつ病のメカニズム」です。
PTSDとの大きな違いは、トラウマを生むほどの一度の大きなストレスはないので、情動記憶の広範囲の断片化がないか、あっても少ないと思います。 その分治療が簡単になると思います。 実際に鍼灸でのうつ病の治療法はPTSDと比べて効果が分かり易いです。
(2018/6/3)
(うつ病は脳の傷を追加 2020/8/11)