● 体の感覚信号の処理
「情動脳」を形成している 「大脳辺縁系」 の中に視床があります。 外部からの感覚の信号の入力の中継局です。 中継局に入った信号は、前頭葉 (内側前頭前皮質) 行く通称ハイロードと扁桃体に行くローロード(数ミリ秒早く到達します)があります。 入って来る信号はまず扁桃体で過去の記憶と照らしてそれが生命の維持に関係するかどうかを判断します。
脳の前頭葉の 「内側前頭前皮質」 は行動に対して理性の抑制をかけます。 人間の脳の神経画像研究から分かったことは、強烈な恐れ、悲しみ、怒りでは、内側前頭前皮質の活動が大幅に低下していることがわかりました。 そうなると理性の抑制が効かないのでちょっと大きな音に過剰に反応するようになります。 PTSD だと 「内側前頭前皮質」 と 「扁桃体」 との均衡が根本的に変化してしまっています。
扁桃体は英語ではAmygdala(発音アメッデュラ)といい、中世ラテン語の「アーモンド」のことです。「goo 辞書」による。
アーモンドの和名はヘントウ(扁桃)と言います。
「扁桃体の形」
がアーモンドに似ています。
● PTSDに在る
衝撃的な体験をするとその記憶が断片化した記憶となります。 その記憶の感覚的断片が現在に侵入して、そこで追体験されます。 トラウマが解消しない限り、身体が自分を守るために分泌するストレスホルモンが循環し続け、防衛の動作や情動的な反応が再生され続けます。
見た目は普通に日常生活をしているようであっても、心と感覚は完全に閉しています。 ただ生物的に生きているだけです。 確かに更なる恐怖、苦痛、不安から逃げることはできました、しかし、嬉しい、楽しいと人生の喜びの感情も同時に感じれなくなっています。今を生きていません、いつまでの過去のトラウマにとらわれれてしまっています。
フラッシュバックが生じている時の脳内の状態をfMRIで見ると、左脳の活動は低下して、右脳に活動が多い偏ったものとなっています。 特に情動に関連する扁桃体それも右側だけが非常に活動的になっています。
(2018/5/6)